米国株の手数料比較を始める前に、結論を先に書きます。SBI証券、楽天証券、マネックス証券の通常の売買手数料率と上限は、ほぼ同じです。差が出るのは為替——日本円を米ドルに替えるやり方です。 だからこの記事で覚えて帰ってほしいのは各社の手数料率ではなく、「自分は円のまま買うのか、先にドルへ替えるのか」という1つの問いです。
米国株のコストは、レジの値札(売買手数料)だけでは決まりません。両替代(為替コスト)、売るときの現地費用、ETFなら保有中にかかる経費が重なります。値札が同じ3つの店で買い物をしても、両替のやり方で支払総額が変わる——米国株の3社比較は、おおむねそういう構図です。
この記事の数値は各社公式を2026-07-17 時点で確認したものです。米国の現地費用やキャンペーン、為替条件は改定されるため、注文前に各社公式で最新情報を確認してください。
結論:手数料率は近く、為替のやり方で差が出る
| 比較軸 | SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 |
|---|---|---|---|
| 通常の現物取引手数料 | 約定代金の0.495%、上限22米ドル(2026年7月時点) | 約定代金の0.495%、上限22米ドル(2026年7月時点) | 約定代金の0.495%、上限22米ドル(2026年7月時点) |
| 最低手数料0米ドルの範囲 | 約定代金2.02米ドル以下(2026年7月時点) | 約定代金2.22米ドル以下(2026年7月時点) | 約定代金1.1010米ドル以下(2026年7月時点) |
| 米ドルの為替手数料 | リアルタイム為替取引は円から米ドル、米ドルから円とも0銭(2026年7月時点) | リアルタイム為替取引は0銭、米国株の円貨決済は買い・売り各25銭/米ドル(2026年7月時点) | 買付時0銭、売却時25銭/米ドル(2026年7月時点) |
| NISA | 米国個別株・海外ETFの売買手数料0円(2026年7月時点) | 米国株・米国ETFの取引手数料0円(2026年7月時点) | 米国株の国内取引手数料0円(2026年7月時点)。売却時の現地費用は別 |
1行目を見てください。3社とも同じ数字が並んでいます。比較記事としては身も蓋もない話ですが、通常の売買手数料で3社に差を付けるのは難しい、というのが正直な読み方です。
差があるのは3行目の為替です。ただしこの行は、数字だけ見ると誤解します。たとえば楽天証券では、米ドルへ先に交換するリアルタイム為替取引と、米国株注文で日本円をそのまま使う円貨決済で条件が異なります。「0銭」と「25銭」が同じ会社の中に同居しているのです。操作を分けず日本円で買える手軽さを取るか、為替コストを抑える操作を自分でやるか——ここが本当の分かれ目で、どちらを選ぶかは会社ではなく自分の性格で決まります。
米国株のコストは4つに分ける
「米国株のコスト」とひとくちに言われるものを、財布から出ていく順に4つへ分解します。この分け方さえ頭に入れば、どの証券会社の料金ページも自力で読めるようになります。
1. 国内取引手数料
日本の証券会社へ支払う売買手数料です。一般的には約定代金、つまり実際に成立した取引金額に一定の率を掛けて計算します。上限があるため、大きい取引では手数料率をそのまま掛けた金額より低くなる場合があります。
反対に、非常に小さい取引では端数処理により最低手数料0米ドル(2026年7月時点)となる範囲があります。ただし、低価格株だから費用面で有利とは限りません。値動き、売買の成立しやすさ、企業情報の少なさなど、別のリスクがあります。
2. 為替手数料・スプレッド
日本円を米ドルへ替えるときのコストです。スプレッドは、両替所の「買う値段」と「売る値段」の差に似ています。画面上で手数料0銭(2026年7月時点)と表示されても、提示される買いレートと売りレートに市場由来の差がある場合があります。「0銭=両替がタダ」ではない、と覚えておくと安全です。
「円貨決済」は、日本円のまま米国株の注文を出し、証券会社が必要な換算を行う方式です。「外貨決済」は、先に米ドルを用意してから買う方式です。同じ証券会社でも方式によって為替条件が違うことがあります。
3. 米国現地の費用
米国株を売却するときは、SEC Feeと呼ばれる現地費用がかかる場合があります。SECは米国証券取引委員会です。日本の証券会社の国内取引手数料が0円(2026年7月時点)でも、現地費用まで消えるとは限りません。
楽天証券とマネックス証券の公式案内では、SEC Feeは約定代金1米ドルあたり0.0000206米ドル(2026年7月時点)とされています。料率は米国側の決定で変わるため、この記事の数字を注文時の固定値として使わず、売却前に公式で確認します。
4. 商品固有の費用
米国ETFには、保有中にファンド資産から差し引かれる経費率があります。ADRと呼ばれる預託証券では、管理費用が配当などから差し引かれる場合があります。配当金には税金が関係し、NISAでも外国での課税が残ることがあります。
取引手数料だけを比べると、この4番目が見えなくなります。購入候補が決まったら、証券会社の手数料ページだけでなく、銘柄ページや目論見書、配当と税金の説明も確認します。
SBI証券の米国株コスト
SBI証券のインターネットコースにおける米国株現物の取引手数料は、1注文あたり約定代金の0.495%、上限22米ドル(2026年7月時点)です。端数処理の関係で、約定代金2.02米ドル以下は最低手数料0米ドル(2026年7月時点)と案内されています。根拠はSBI証券の米国株式取引手数料公式案内です。
米ドル/円のリアルタイム為替取引は、円から米ドル、米ドルから円とも為替手数料0銭(2026年7月時点)です。両方向とも0銭という条件は、この記事で比較した中では分かりやすい部類です。ただし、外国為替市場の買い値と売り値には差があります。また、米ドル預り金不足時の自動為替取引など、通常のリアルタイム為替取引と別条件になる場面があります。
NISAでは、米国個別株と海外ETFの売買手数料0円(2026年7月時点)と案内されています。旧NISAで保有した商品など、預り区分によって扱いが異なる場合があるため、注文時の口座区分を確認します。
向いている可能性がある人
- 自分で円と米ドルの交換を行い、外貨決済を管理したい人
- NISAで米国個別株や海外ETFも検討したい人
- 日本株や投資信託と同じ証券会社にまとめたい人
注意点
手数料0銭(2026年7月時点)を「交換レートの買値と売値が完全に同じ」と受け取らないようにします。注文方法、外貨残高、預り区分を確認する作業が苦手な人には、機能の多さが負担になる場合があります。
楽天証券の米国株コスト
楽天証券の米国株現物の取引手数料は、約定代金の0.495%、上限22米ドル(2026年7月時点)です。約定代金2.22米ドル以下は取引手数料0円(2026年7月時点)です。詳しい区分は楽天証券の米国株式手数料公式案内で確認できます。
楽天証券でいちばん注意してほしいのは、為替の「入り口が2つある」ことです。リアルタイム為替取引の米ドルは為替手数料0銭(2026年7月時点)ですが、米国株を日本円で売買する円貨決済は購入時25銭/米ドル、売却時25銭/米ドル(2026年7月時点)です。円貨決済の為替手数料は注文約定時の為替レートに含まれます。つまり、明細に「為替手数料」という行が立たないまま、レートの中で払っている形になります。
だから「楽天証券の米ドル為替は0銭(2026年7月時点)」とだけ覚えると不正確です。先にリアルタイム為替取引で米ドルへ交換するのか、米国株注文で日本円を使うのかを区別します。操作の手間を減らすことに価値を感じるなら円貨決済、為替手数料の条件を細かく確認するなら外貨決済、という比較になります。どちらが正解というより、両替を自分の作業として引き受けるかどうかの選択です。
NISAでは、米国株と米国ETFの取引手数料0円(2026年7月時点)です。ただし、為替手数料、SEC Fee、ETF経費などが別に残る可能性があります。
向いている可能性がある人
- 楽天証券のアプリやポイントをすでに使っている人
- 円貨決済と外貨決済を理解して選べる人
- 為替取引を別操作にするか、手軽さを取るかを自分で決めたい人
注意点
リアルタイム為替取引0銭(2026年7月時点)と円貨決済25銭/米ドル(2026年7月時点)が同じページに並ぶため、自分の注文にどちらが適用されるかを確認します。アプリの注文確認画面で決済通貨を見直します。
マネックス証券の米国株コスト
マネックス証券の米国株現物手数料は、約定代金の0.495%、上限22米ドル(2026年7月時点)です。最低手数料0米ドルが適用されるのは約定代金1.1010米ドル以下(2026年7月時点)です。根拠はマネックス証券の米国株現物手数料公式案内です。
為替手数料は、買付時0銭、売却時25銭/米ドル(2026年7月時点)です。「米ドルで買う」リアルタイム取引と「円で買う」定時取引のどちらも、公式案内では買付時0銭(2026年7月時点)とされています。円のまま買っても買付時の為替手数料が0銭という条件は、両替の操作をしたくない人には分かりやすい設計です。ただし、円で買う場合の条件は定期的に見直され、次回見直し予定も示されています。開始前には最新条件を再確認します。
マネックス証券の提示する米ドルの買いレートと売りレートの差には、掲載された為替手数料とは別に、外国為替市場の業者間レートのスプレッドが含まれると説明されています。「買付時0銭(2026年7月時点)」でも、相場変動や提示レートの差がなくなるわけではありません。
NISA口座では米国株の国内取引手数料0円(2026年7月時点)ですが、売却時には現地手数料が別途かかります。NISA口座に加え外国株取引口座の開設が必要です。
向いている可能性がある人
- 日本円から米国株を買うときの為替手数料を重視する人
- 米国株向けの情報や注文機能も比較したい人
- 売却時の為替手数料や現地費用を理解して管理できる人
注意点
買付時0銭(2026年7月時点)だけで往復コストを判断しないようにします。将来、米ドルを日本円へ戻す場面では売却時25銭/米ドル(2026年7月時点)がかかります。米ドルのまま次の取引に使うか、日本円へ戻すかでも費用の発生回数が変わります。投資は買って終わりではなく、いつか売って円に戻すところまでが1往復です。
例:手数料率が同じでも支払額は変わる
仮に通常口座で1,000米ドル分を1回買うと、0.495%は4.95米ドル(2026年7月時点)です。3社とも上限に達しない範囲では、国内取引手数料率だけなら同じ計算になります。
しかし、日本円で用意した資金をどう米ドルへ替えるかで為替コストが変わります。楽天証券で円貨決済を使い、1,000米ドル分を買うと、25銭/米ドル(2026年7月時点)の為替手数料部分は250円(2026年7月時点)に相当します。一方、リアルタイム為替取引0銭(2026年7月時点)の経路を使う場合でも、市場レートの買値と売値の差や為替変動は残ります。
ついでに正直な注釈を足すと、この程度の差は、株価や為替レートが少し動いただけで簡単にかき消される規模でもあります。為替コストの節約は「やらないよりやったほうがいい」ことですが、それで投資の成否が決まるわけではありません。数百円の両替代より、何をいくら買うかの判断のほうがずっと重い——それがこの比較の正直な結論です。
この例は、特定の証券会社や銘柄の利用を勧めるものではありません。実際の受渡金額は注文時の為替レート、端数処理、現地費用、税金などで変わります。注文確認画面に表示される概算と、約定後の取引報告書を確認します。
NISAなら手数料を見なくてよいのか
NISAの国内取引手数料が0円(2026年7月時点)でも、コスト確認は必要です。残るものを並べます。
- 円と米ドルを交換する為替コスト
- 売却時のSEC Feeなどの現地費用
- ETFの経費率
- ADRの管理費用
- 配当への外国課税
- 注文価格と約定価格の差
また、NISA口座で発生した損失は、特定口座や一般口座の利益と損益通算できません。取引手数料が下がっても、株価と為替が動くリスクは変わりません。
向かない人・デメリット・注意点
手数料の説明を全部忘れても、この節だけは覚えて帰ってください。米国株で後悔する典型は、手数料の見落としではなく、次のような入り方をした場合です。
為替を理解せず米国株を始める人
米国株が値上がりしても、米ドルが円に対して下がると、円換算した利益が小さくなったり損失になったりします。反対方向に動くこともあります。株価と為替の2つが動く商品だと理解してから検討します。
手数料無料だけで低価格株を選ぶ人
最低手数料0米ドル(2026年7月時点)の範囲は、低価格株の安全性を示すものではありません。値動きが大きい、売買が少ない、企業情報を追いにくい銘柄もあります。手数料より先に、企業内容とリスクを確認します。
日本時間の感覚だけで成行注文を使う人
米国市場には日本株と異なる取引時間や値幅の仕組みがあります。成行注文は価格を指定しない注文で、相場急変時には想定から離れた価格で成立することがあります。注文種類と取引時間を理解できない場合、米国個別株は向かない可能性があります。
外貨残高を管理したくない人
為替コストを抑えるために外貨決済を選ぶと、米ドル残高、為替取引、配当の受取通貨などの管理が増えます。管理の簡単さを優先するなら、費用だけでなく円貨決済の分かりやすさも比較します。
短期売買を繰り返す人
1回の手数料が小さくても、売買回数が増えると合計コストが積み上がります。為替交換を何度も行えば、そのたびに条件の影響を受けます。取引回数を増やすこと自体を目的にしないようにします。
注文前の確認表
- NISA口座か課税口座か
- 現物取引か信用取引か
- 円貨決済か外貨決済か
- 国内取引手数料はいくらか
- 円から米ドル、米ドルから円の両方向の為替条件は何か
- 売却時の現地費用があるか
- ETFやADRの固有費用があるか
- 注文確認画面の決済通貨と預り区分は正しいか
比較表を見たあと、実際に使う証券会社の公式ページで、自分の口座コースと注文方法に絞って確認します。一般向けの広告ページと、手数料詳細、取引ルール、契約締結前交付書面の内容が異なって見える場合は、適用条件を証券会社へ問い合わせます。
まとめ:往復と操作方法まで見る
通常の米国株現物取引では、3社とも約定代金の0.495%、上限22米ドル(2026年7月時点)です。ここに差はほとんどありません。差を確認したいなら、最低手数料が無料になる範囲と、円を米ドルへ替える方法を見ます。
買うときだけでなく、売却し、日本円へ戻すところまでを1つの往復として考えると比較しやすくなります。NISAの取引手数料が0円(2026年7月時点)でも、為替、現地費用、商品固有費用、価格変動リスクは残ります。各社の条件は改定されるため、注文前に公式で最新を確認してください。
この記事は情報提供を目的とした比較上の見解であり、投資助言ではありません。特定の銘柄・商品を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。