銘柄・業界分析

投資信託とETFの違い|目的で変わる選び方

投資信託とETFは、どちらも資産の詰め合わせを買う道具です。買い方、値段、積立、分配金、コストの違いを公式情報から整理し、目的別の選び方を示します。

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「投資信託とETFは、どちらがいいのか」。先に答えると、目的によって結論は逆転します

どちらも、多くの株式や債券などをひとまとめにした「詰め合わせ」を買う道具です。大きな違いは、中身そのものより買い方と売り方にあります。中身が似ていても、器が違えば、積立のしやすさ、値段の決まり方、分配金を再投資する手間、かかるコストが変わります。

まず、自分の目的に近いものを次の3つから選んでください。

  1. 毎月コツコツ自動で積み立てたい:投資信託の器が合いやすいです。金額を指定しやすく、分配金を自動で再投資できる形もあるためです。
  2. 自分のタイミングで売買し、保有中のコストを優先したい:ETFの器が合いやすいです。取引時間中に価格を見て注文でき、信託報酬が低い傾向があります。ただし、売買時の費用も合わせて比べます。
  3. 運用の手間をできるだけ減らしたい:利用する証券会社で、買付と再投資を自動化できる方を選びます。商品名より先に、積立設定と分配金の扱いを確認するのが近道です。

「どちらが儲かるか」だけでは選べません。似た中身を持つ商品同士なら、運用結果の差につながるのは、保有中と売買時のコスト、市場価格のずれ、そして続けるために必要な手間です。

投資信託とETFは、どちらも「詰め合わせ」

投資信託は、多くの投資家から集めたお金を一つにまとめ、運用会社が株式や債券などへ投資する金融商品です。少ない金額でも、複数の資産へ分けて投資しやすくなります。仕組みは投資信託協会の解説で確認できます。

ETFは「上場投資信託」の略で、証券取引所に上場している投資信託です。上場とは、取引所で株式のように売買できる状態を指します。投資信託という仲間でありながら、注文方法は株式に近いのが特徴です。

投資信託やETFの多くは、インデックスに連動する運用を目指します。インデックスとは、市場全体や特定の集まりの値動きを一つの数値で表した「指数」です。「連動する」とは、指数と同じ方向・同じ程度の値動きを目指すことです。ただし、すべての商品が指数連動型ではなく、中身や運用方針は商品ごとに異なります。

違いは「いつ、何を指定して買うか」

投資信託では、一般に「1万円分」のように金額を指定して買うことができます。売買に使う基準価額は、投資信託が持つ資産から費用などを差し引いた純資産を、口数で割った値段です。原則として1日1回計算されるため、注文時点では適用される基準価額がまだ分からない場合があります。投資信託協会も、基準価額を純資産総額から算出し、原則として毎営業日公表すると基準価額の解説で説明しています。

ETFは、通常の取引所売買では口数を指定して買うのが原則です。取引時間中は売りたい人と買いたい人の注文で市場価格が動き、値段を指定する指値注文と、値段を指定しない成行注文を使えます。一部の証券会社には金額指定のサービスもありますが、対象や条件は会社ごとに違います。

日本取引所グループ(JPX)の比較と各社の公式案内を基に、主な違いを表へまとめます。

比較項目投資信託ETF
買い方金額指定ができる。口数指定の可否は商品・会社による通常の取引所売買は原則口数指定。売買単位は商品ごとに異なる
値段の決まり方基準価額を原則1日1回算出取引時間中に市場価格が動く
積立のしやすさ定期・定額の自動買付を設定しやすい対応する積立サービスや買える口数が会社・商品で異なる
分配金の扱い受取型のほか、自動再投資できる形がある分配金が出る場合は受け取る。再投資は自分で買い付ける
コストの種類信託報酬。商品によって購入時手数料や信託財産留保額など信託報酬。売買手数料がかかる場合があり、売値と買値の差もある

この表は一般的な違いです。金額指定、積立、分配金コース、手数料無料の対象は、商品と証券会社で変わります。契約前には、商品の目論見書と証券会社の公式画面を照合してください。

「ETFの方が安い」だけでは決められない

コストで最初に確認したいのが、信託報酬です。これは、運用や資産管理などの対価として、保有している間に投資信託の財産から差し引かれる費用です。投資信託にもETFにもあります。投資信託協会は、信託報酬が日々差し引かれる仕組みをコストの公式解説で示しています。

ETFは、一般の投資信託より信託報酬が低い傾向にあります。しかし、それだけで総コストが低いとは決まりません。

ETFには、証券会社や商品によって、買う時と売る時に売買手数料がかかる場合があります。毎月積み立てれば、手数料がある取引では買うたびに費用が乗ります。また、市場には買いたい値段と売りたい値段の差があります。この差をスプレッドと呼び、差が広い時は取引時の見えにくい負担になります。

一方、投資信託にも、商品や販売会社によって購入時手数料、換金時の信託財産留保額などがかかる場合があります。無料のものもありますが、すべてが同じ条件ではありません。

つまり比べるのは、信託報酬だけではなく、次の合計です。

  • 保有している間の信託報酬
  • 購入時と売却時にかかる費用
  • ETFでは売値と買値の差
  • 分配金を再投資する時の手数料と手間

楽天証券のETF解説でも、ETFには保有中の信託報酬に加え、売買手数料がかかる場合があると説明されています。具体の料率や手数料は商品と会社で違うため、数字を一律には示せません。目論見書の「手続・手数料等」と、利用する証券会社の手数料表を確認してください。

分配金は、受取後の動きまで比べる

分配金は、投資信託やETFの資産から、決算時に保有者へ支払われるお金です。商品によっては出ない場合もあります。

ETFで分配金が出ると、原則として現金で受け取ります。再投資したい場合は、そのお金でETFを自分で買い直す必要があります。受取額では1口を買えないこともあり、買い付けるまで現金のまま残る場合があります。

投資信託には、分配金を受け取る形と、同じ投資信託へ自動で再投資する形があります。どちらを扱うか、後から変更できるかは商品と販売会社によります。投資信託協会の公式FAQでも、分配金再投資コースを選べる場合がある一方、取扱いは販売会社によって異なると説明しています。

ここで見落としたくないのは、分配金は資産の外から新しく足されるお金ではないことです。分配した分だけ、投資信託やETFの中に残る資産は減ります。受け取った現金だけを見て成果を判断せず、分配後の値段と合わせて見ます。この考え方は、配当金と株主優待の基本でも説明しています。

NISAでは、枠ごとに対象商品が違う

投資信託もETFも、対象商品であればNISAで買えます。ただし、すべての商品をどちらの枠でも買えるわけではありません。

つみたて投資枠は、金融庁の要件を満たし、届出された一定の商品に限られます。成長投資枠も対象外となる条件があり、さらに実際の取扱商品は金融機関によって異なります。金融庁はつみたて投資枠の対象商品一覧を公開しています。

NISAの年間投資枠や非課税保有限度額、売却後の枠の扱いは、この記事で繰り返しません。制度の全体像は新NISAの基本で確認してください。ここでの判断順は、「NISAだから選ぶ」ではなく、「自分に合う器と中身を決め、その商品が使いたい枠の対象かを公式一覧で確かめる」です。

ETFで特に確認したい3つの注意点

1. 市場価格と中身の価値がずれることがある

ETFには、保有資産から計算した基準価額と、取引所で売買される市場価格があります。この2つがずれることを乖離といいます。市場価格は売買の需要と供給でも動くため、基準価額より高い値段で買ったり、低い値段で売ったりする可能性があります。

JPXも、需給などにより基準価額と市場価格が一致しない場合があるとETFのリスク解説で示しています。注文前には、市場価格だけでなく、基準価額や気配値も確認します。

2. 注文が少ないと、希望する価格で売買しにくい

ETFの取引量や注文量が少ない場合、市場の実勢から見込まれる価格で売買できないことがあります。売買しやすさを流動性と呼びます。

単に過去の出来高だけで決めるのではなく、今出ている売り注文と買い注文、その数量、売値と買値の差を見ます。売りたい時に注文が少なければ、値段を下げないと売れないことがあります。

3. 成行注文は、想定と違う値段で成立しうる

成行注文は、値段を指定せず、成立を優先する注文です。注文が薄い時や価格が大きく動いている時は、画面で直前に見た価格と違う値段で成立する可能性があります。

一方の指値注文は、買う上限や売る下限の値段を指定できますが、その値段に届かなければ成立しません。JPXは、ETFが株式と同じように指値・成行で売買できることをETFの売買制度で案内しています。どちらにも役割と弱点があります。

最後は「手間を含む総コスト」で選ぶ

投資信託とETFは、どちらか一方が常に上という関係ではありません。

毎月同じ金額を自動で買い、分配金も手間なく再投資したいなら、投資信託の器が合いやすくなります。取引時間中に価格を見て自分で注文し、保有中の費用を細かく比べたいなら、ETFの器が合いやすくなります。売買や再投資に時間を使いたくないなら、利用する証券会社で自動化できる範囲を最優先します。

比較するときは、まず似た中身の商品をそろえ、そのうえで信託報酬、売買時の費用、分配金の扱い、積立設定を並べます。器の違いを無視して信託報酬だけを比べると、自分の買い方では結論が逆になることがあります。

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