レース検証

連敗と最大ドローダウンの計算方法|回収率と併記する

公営競技の検証で、連敗数と最大ドローダウンを時系列の収支から計算し、回収率・資金曲線と併記して振れ幅を読み違えない方法を解説します。

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回収率が同じ検証結果でも、途中の資金の減り方は同じとは限りません。少額の不的中が長く続いた記録と、高額購入を含む短い連敗で資金が大きく減った記録では、運用中に受ける負担が異なります。その違いを確かめるために、回収率と一緒に記録したいのが「連敗数」と「最大ドローダウン」です。

連敗数は、損失になった試行が何回続いたかを表します。最大ドローダウンは、検証中の資金残高が、それ以前の最高値から最も大きく落ち込んだ幅を表します。片方だけでは、試行回数の長さと損失額の深さを同時に把握できません。

この記事では、レースごとの購入額、払戻金、返還金を時系列で並べ、連敗数と最大ドローダウンを計算する手順を説明します。例に使う金額と結果はすべて架空です。特定の買い方の利益や安全性を示すものではなく、過去の検証値から将来の損失上限を保証するものでもありません。

連敗数だけでは足りない理由

連敗数は直感的に分かりやすい指標です。各レースの損益がマイナスなら連敗を1増やし、ゼロ以上になった時点で連敗をいったん区切ります。たとえば、損失、損失、利益、損失、利益という順なら、最長連敗は2です。

ただし、同じ2連敗でも損失額は変わります。毎回100円を購入して2回とも不的中なら損失は200円です。毎回1,000円なら2,000円です。さらに、1回目が100円、2回目が5,000円のように購入額を変えていれば、連敗数だけを見ても資金への影響は分かりません。

的中していても、その試行の払戻金が購入額を下回れば収支はマイナスです。複数点を合計1,000円購入し、的中した組み合わせの払戻金が600円なら、損益はマイナス400円です。「的中したから連敗ではない」と数えるか、「損益がマイナスだから損失試行」と数えるかで結果が変わります。検証では、的中の有無を数える「不的中連続回数」と、損益がマイナスの試行を数える「損失連続回数」を別の列にすると混乱を防げます。

もう一つの問題は、連敗の前にどれだけ利益を積み上げていたかが見えないことです。残高1万円から2,000円減る場合と、残高3万円から2,000円減る場合では、金額は同じでも残高に対する割合が異なります。最大ドローダウンは、直前の最高残高を基準に落ち込みを測るため、この違いを割合でも比較できます。

連敗数、損失額、最大ドローダウン、回収率は競合する指標ではありません。それぞれが別の問いに答えます。

指標主に分かること単独では分からないこと
最長連敗損失試行が最長で何回続いたかその間に失った金額
累計損益開始から終了までに増減した金額途中でどれだけ落ち込んだか
回収率購入額に対して払戻・返還がどれだけあったか損益が生じた順番
最大ドローダウン過去の最高残高から最も深い落ち込み将来の最大損失

回収率の意味と計算方法も合わせて確認すると、最終結果と途中経過を分けて読みやすくなります。

最大ドローダウンの定義

最大ドローダウンを計算するには、まず各時点の「資金残高」と「それまでの最高残高」を作ります。本稿では、レースごとの決済後残高を観測点とし、次の式で計算します。

損益 = 払戻金 + 返還金 − 購入額

決済後残高 = 直前の決済後残高 + 損益

ドローダウン額 = それまでの最高残高 − 現在残高

ドローダウン率 = ドローダウン額 ÷ それまでの最高残高 × 100

開始資金も最初の最高残高に含めます。開始資金が1万円なら、1レース目の決済前に最高残高1万円があるものとして扱います。残高が過去最高を更新した時点では、ドローダウン額もドローダウン率も0です。最高値を更新しない限り、基準となる最高残高は据え置きます。

最大ドローダウン額は、全観測点のドローダウン額のうち最大の値です。最大ドローダウン率も同様に、各時点のドローダウン率の最大値を取ります。開始資金、入出金の扱い、集計単位が同じなら、別の期間や買い方同士を比較する補助になります。

ここで重要なのが、外部からの入金と検証損益を混ぜないことです。残高が減った途中で5,000円を追加入金すると、見かけ上の資金曲線は回復しますが、買い方が損失を取り戻したわけではありません。出金も同様です。検証用の残高は「開始資金+累計損益」で計算し、入出金は別列に残します。実際の口座残高と検証用残高を分ける方法もあります。

ドローダウン率の分母は、落ち込みが始まる直前までの最高残高です。最大ドローダウン率が20%だったからといって、底から元の最高値へ戻るのに20%の利益で足りるとは限りません。100から80へ下がると下落率は20%ですが、80から100へ戻るには20÷80=25%の増加が必要です。下落率と回復率は分母が異なります。

時系列データを作る

最大ドローダウンは、購入総額と払戻総額だけでは計算できません。同じ最終損益でも、利益が先に出たか、損失が先に出たかによって途中の最高残高と落ち込みが変わるからです。最低限、1レース1行で次の項目を保存します。

項目記録内容
通し番号並べ替えても元の順番へ戻せる番号
開催日・競技・会場・レース同時刻や同名レースを区別できる情報
券種単勝、複勝、3連単などの分類
購入額そのレースで実際に使った合計額
払戻金結果確定後に公表された払戻に基づく受取額
返還金出走取消などにより戻った金額
損益払戻金+返還金−購入額
決済後残高開始資金へ累計損益を加えた額
過去最高残高その行までの決済後残高の最大値
ドローダウン額・率過去最高残高から現在残高までの差
不的中・損失フラグ的中の有無と損益の正負を分けて記録

払戻金は、オッズ表示をそのまま掛けて推定するのではなく、結果確定後の公式払戻で更新します。JRAは、着順が確定した後に払戻金を発表し、表示される払戻は100円の馬券を購入した場合の金額だと案内しています。また、最終オッズは勝馬が1頭または1組と仮定した概算払戻率であり、同着などの結果によって実際の払戻と異なる場合があると説明しています。したがって、検証の決済値には最終オッズの推定額ではなく、公式の確定払戻を使うのが基本です。

返還も払戻と分けます。JRAのインターネット投票案内では、的中時の払戻金や、出走取消・競走除外などによる返還金が購入限度額へ加えられることが示されています。本稿の記録法では、購入額をいったん支出として記録し、返還された金額を返還金列へ入れます。全額返還なら損益は0となり、損失にも利益にも数えません。一部だけ返還された場合は、残った購入分の払戻と合わせて損益を計算します。

同じ日の複数レースを後からまとめて入力すると、実際の順番を取り違えやすくなります。開催日時順を基本にし、同時刻の別競技をまたいで比較する場合は、購入受付時刻と結果確定時刻のどちらで並べるかを事前に固定します。迷う場合は、競技ごとに別集計を作る方が再現しやすくなります。より一般的な記録項目は公営競技の検証記録の付け方でも整理しています。

インターネット投票の履歴は、確認できるうちに元データを保存します。JRAの公式FAQでは、ネット購入履歴から過去60日分の購入内容を確認できると案内しています。また、公式の操作ガイドには、投票内容と投票成績をCSV形式でダウンロードする機能が示されています。検証表へ転記した後も、取得日を付けた元CSVを残しておけば、並べ替えや計算式を誤ったときに照合できます。保存できる期間や項目はサービスによって異なるため、JRA以外は各主催者・投票サービスの最新案内を確認してください。

オッズの変化も検証する場合は、確定払戻とは別の列へ保存します。購入時点、締切直前、最終オッズを混ぜると、どの時点の判断を検証したのか分からなくなります。取得時点を固定し、損益列には確定払戻だけを使います。

計算例を追う

開始資金を1万円とし、7レースを順に検証する架空例を考えます。購入額は固定ではありません。払戻金は購入額を含む受取総額として記録し、返還はなかったものとします。

最初の2連敗だけを入力額で確かめると、開始資金10,000円、1回の購入額1,000円なら、2回分の損失は2,000円、計算上の残高は8,000円です。

購入額払戻金損益決済後残高過去最高残高DD額DD率
開始0円0円0円10,000円10,000円0円0.00%
11,000円0円-1,000円9,000円10,000円1,000円10.00%
21,000円0円-1,000円8,000円10,000円2,000円20.00%
31,000円3,500円+2,500円10,500円10,500円0円0.00%
41,000円0円-1,000円9,500円10,500円1,000円9.52%
52,000円0円-2,000円7,500円10,500円3,000円28.57%
61,000円2,400円+1,400円8,900円10,500円1,600円15.24%
71,000円0円-1,000円7,900円10,500円2,600円24.76%

最長の損失連続回数は、1〜2回目と4〜5回目の2連敗です。しかし、1〜2回目の連続損失は合計2,000円、4〜5回目は合計3,000円です。回数だけなら同じでも、5回目の購入額が大きいため、後半の谷が深くなっています。

3回目に残高が10,500円となり、開始時の1万円を上回りました。この時点で過去最高残高を10,500円へ更新します。5回目の決済後残高は7,500円なので、ドローダウン額は10,500円−7,500円=3,000円、ドローダウン率は3,000円÷10,500円×100=約28.57%です。この7回の最大ドローダウンは3,000円、率では約28.57%となります。

一方、7回全体の購入額は8,000円、払戻金は5,900円、累計損益はマイナス2,100円です。返還がないため、回収率は5,900円÷8,000円×100=73.75%です。開始資金1万円に累計損益を加えた最終残高は7,900円となり、表と一致します。

5回目の底7,500円から直前最高の10,500円へ戻るには、3,000円の利益が必要です。底の残高を基準にすると3,000円÷7,500円×100=40%です。最大ドローダウン率約28.57%と、回復に必要な増加率40%は別の数字です。

表計算ソフトでは、A列を通し番号、B列を購入額、C列を払戻金、D列を返還金、E列を損益、F列を残高、G列を過去最高残高、H列をドローダウン額、I列をドローダウン率とします。前行参照、累積最大、割り算の式を最初の行へ作り、下まで複製します。ゼロ除算を避けるため、開始資金が0の検証では率を計算せず、金額だけを表示するか、仮想開始資金の設定根拠を明記します。

計算例のまとめ

確認項目この例の値読み取れること
試行数7回母数が小さく、将来の振れ幅を判断するには不足する
購入総額8,000円回収率の分母
払戻・返還総額5,900円今回は返還なし
回収率73.75%5,900円÷8,000円
累計損益-2,100円最終結果の金額
最長損失連続回数2回連続損失の長さ
最大ドローダウン3,000円(28.57%)過去最高10,500円から底7,500円までの深さ
最大ドローダウン後の回復未回復7回目でも過去最高10,500円を更新していない

この表は、最終結果、連続回数、途中の落ち込みを一つの数字へまとめないための最小セットです。検証期間が違う結果を比べるときは、試行数も併記します。試行数が少ないほど、観測されていない長い連敗や深い落ち込みが残っている可能性があります。

券種別集計と資金曲線を分けて読む

すべての券種を合算した資金曲線は、全体の実収支を見るには役立ちます。しかし、どの券種が連敗やドローダウンへ影響したかを調べるには、券種別の集計も必要です。低い払戻が比較的多い券種と、的中間隔が長くなりやすい高配当型の券種を一緒にすると、全体平均だけではそれぞれの振れ方が隠れます。

まず、全券種合算の表を正本として残します。その上で、券種列を条件にして単勝だけ、複勝だけ、馬連だけ、といった別の資金曲線を作ります。券種別曲線の開始資金をどう置くかは、次の二つの方法があります。

  1. 全体の開始資金と同じ額を各券種へ仮置きし、変動の形を比較する
  2. 実際に券種ごとへ割り当てた予算を開始資金として、資金への影響を比較する

前者は形の比較に向きますが、複数の券種へ同じ資金を重複計上するため、券種別残高を合計してはいけません。後者は実際の予算管理に近い一方、途中で配分を変えた場合の入出金処理が必要です。どちらを採用したかを検証票へ明記します。

競馬、競輪、ボートレースなど競技をまたぐ場合も、同じ考え方で分けます。控除や払戻の制度だけでなく、レース数、賭式、購入機会、欠場・返還の扱いが異なるためです。

集計を細かく分けすぎると、各区分の試行数が少なくなります。たとえば「競馬場×距離×馬場状態×券種×購入条件」のように後から区切れば、たまたま成績の良かった小区分を作れてしまいます。券種別集計は検証前に決め、全体の結果も消さずに並べます。各表には試行数、購入総額、払戻・返還総額、回収率、累計損益、最長連敗、最大ドローダウン額・率を同じ順で載せると比較しやすくなります。

資金曲線の見せ方

資金曲線は、横軸に試行の順番、縦軸に決済後残高を置いた折れ線です。開始点を必ず表示し、どこから増減したのかを分かるようにします。日付を横軸にすると実施しなかった期間も含めた時間の経過が見え、通し番号を横軸にすると1試行ごとの変動を比較しやすくなります。目的に応じて選びます。

グラフには、残高の線だけでなく過去最高残高の線を重ねると、ドローダウン中の区間が分かりやすくなります。最大ドローダウンの開始点であるピーク、底となった時点、ピークを再び上回った回復点も注記できます。ただし、検証期間中に回復しなかった場合は「未回復」と表示し、終了点を回復点のように扱いません。

比較用に複数の曲線を重ねるときは、金額と割合を混同しないよう注意します。開始資金が1万円の曲線と10万円の曲線を金額のまま重ねれば、後者の変動が大きく見えやすくなります。変動の形を比べる目的なら、開始時点を100とした指数や、開始資金に対する増減率へそろえます。実際の資金負担を示す目的なら、金額表示を残します。

資金曲線の隣には、最低でも次の集計値を置きます。

  • 検証期間と試行数
  • 開始資金と最終残高
  • 購入総額、払戻・返還総額、累計損益
  • 回収率
  • 最長の不的中連続回数と損失連続回数
  • 最大ドローダウン額、率、ピーク日、底の日
  • 集計対象の競技、券種、購入条件
  • 追加入金・出金を曲線から除外したか

最大ドローダウンだけを大きく表示すると、検証期間の長さや試行数が欠けます。長く試すほど新しい深い谷を観測する機会は増えます。逆に短い検証でドローダウンが小さくても、安全性が高いとは限りません。曲線、集計値、条件を一組で示すことが大切です。

将来損失の保証に使えない理由とFAQ

最大ドローダウンは、その検証期間に実際に観測した最大の落ち込みです。「今後もこの範囲に収まる上限」ではありません。試行数が増える、購入額が変わる、券種を変える、オッズや参加者の行動が変化する、検証条件に当てはまる機会が偏るといった理由で、将来は過去より深い落ち込みが起こり得ます。

過去データを見てから条件を調整すると、ドローダウンが小さく見える条件だけを選ぶ危険もあります。たとえば、大きく負けたレースを「例外」として除外したり、途中から購入額を変えた記録を固定額の検証と混ぜたりすれば、再現性は下がります。除外条件、購入額の決め方、終了条件は検証前に固定し、変更した場合は版を分けます。

最大ドローダウンを比較するときは、開始資金だけでなく、1回の購入額が開始資金の何%かもそろえます。開始資金1万円で毎回1,000円を使う検証と、開始資金10万円で毎回1,000円を使う検証では、同じ不的中でも率への影響が違います。購入額を損失後に増やす方法は、連敗数が同じでもドローダウンを急に深くする可能性があります。

実務では、回収率だけを見て採否を決めるのではなく、少なくとも「試行数」「購入総額」「累計損益」「最長連敗」「最大ドローダウン」「未回復期間」を並べます。それでも将来を保証できるわけではありませんが、最終成績だけを見た判断より、どの程度の振れを実際に通過した検証なのかを説明しやすくなります。

なお、公式結果が確定する前の払戻見込みを使うと、後から収支が変わる可能性があります。JRAは、審議によって着順が変更される場合があり、確定後に払戻金が発表されると案内しています。検証値は確定結果で更新し、取得日時を残します。

返還が発生した試行は、損益0として扱える全額返還と、購入の一部だけが返る一部返還を分けます。対象となる組み合わせは券種や取消状況で異なるため、一律に「取消があれば全額返還」と処理せず、主催者の確定結果を保存します。

また、本稿の収支表は検証用であり、税務上の所得計算表と同じものではありません。国税庁は、公営競技の払戻金について確定申告が必要になる場合があると案内し、払戻金に係る受取額や投票額を入力する専用の計算書を公開しています。検証上の累計損益がそのまま課税所得になるとは限らないため、申告の要否や計算は国税庁の最新案内または税務署などで確認してください。

よくある質問

最大ドローダウンは購入総額と払戻総額だけで計算できますか

できません。損益が発生した順番によって過去最高残高と底が変わるため、1試行ごとの時系列データが必要です。購入総額と払戻総額だけで分かるのは最終的な累計損益や回収率です。

的中したのに払戻金が購入額を下回った場合は連敗に含めますか

定義によります。本稿の「損失連続回数」では損益がマイナスなので含め、「不的中連続回数」では的中しているため含めません。二つを別列で記録すると、集計後の解釈がぶれません。

返還されたレースは連敗に含めますか

全額返還で損益が0なら、損失連続回数はいったん区切る扱いが分かりやすいでしょう。ただし、検証前に「0は区切る」などのルールを固定してください。一部返還後も損益がマイナスなら、本稿の定義では損失試行に含めます。

最大ドローダウン率が20%なら、元に戻るのも20%ですか

同じではありません。100から80への下落は20%ですが、80から100へ戻るには25%の増加が必要です。下落時は最高残高、回復時は底の残高が分母になります。

最大ドローダウンが小さい買い方ほど安全ですか

そうとは限りません。試行数、検証期間、1回の購入額、開始資金、除外条件が違えば単純比較できません。最大ドローダウンは観測期間内の実績であり、将来の損失上限を保証する値でもありません。

一次情報の確認記録

以下は2026年8月23日に再確認した公式情報です。制度や画面仕様を使う際は、確認日も一緒に更新してください。

連敗数は「長さ」、最大ドローダウンは「深さ」、回収率は「購入額に対する最終的な戻り」を見る指標です。時系列データを残し、同じ条件で三つを併記することで、結果の一面だけを強調しない検証票になります。

全体手順は公営競技のオッズ検証完全ガイド、制度上の払戻率はオッズの決まり方と控除率で確認できます。

著者はオッズと決算編集部です。作成方法は、10件の架空収支を時系列へ並べ、ピーク・底・最大ドローダウン・回復率を再計算する方法です。この記事には広告・アフィリエイトリンクを含みません。