証券口座・始め方

NISAの損失は損益通算できない|4例で整理

NISAで損失が出たとき、特定口座や一般口座の利益と相殺できない理由を、売却・含み損・配当・課税口座への移管の数値例で整理します。

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本記事は、2024年からのNISAと上場株式等の損失について、制度の一般的な仕組みを学ぶための教育記事です。特定の銘柄・商品・売買時期を勧めるものではなく、税務・投資の個別助言でもありません。

NISAについて「利益が非課税になる」と知っていても、値下がりした後で初めて「NISAの損失は、特定口座や一般口座の利益と損益通算できない」「翌年以後へ繰り越せない」と知ることがあります。利益側の利点だけを先に理解していた人ほど、損失側の扱いを不公平に感じやすいところです。

しかし、ここで急いで「損だから売らない」「NISAは不利だから使わない」と決めるのも危険です。税務上の扱いと、投資を続ける理由は別々に確認する必要があります。この記事では、NISA口座、特定口座、一般口座、配当の扱いを分け、数字を使って「何が通算できず、何がまだ確定していないか」を整理します。

結論を先にまとめると、次のとおりです。

  • NISA口座で生じた売却損は、税務上「ないもの」とみなされ、課税口座の利益や一定の配当等と損益通算できません。
  • NISA口座の売却損は、確定申告をしても翌年以後へ繰越控除できません。
  • 特定口座・一般口座で生じた上場株式等の譲渡損失は、対象取引や申告などの条件を満たせば、同年の対象利益・配当等との損益通算や翌年以後3年間の繰越控除ができる場合があります。
  • 含み損は、まだ売却していない評価上の損失です。NISAの損益通算不可が直接問題になるのは、原則として売却損が生じた場面です。
  • 国内上場株式、ETF、REITの配当金・分配金をNISAで非課税にするには、原則として株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。
  • 売るか持ち続けるかは、税務だけでなく、投資理由、保有期間、近く使う資金か、許容できる値下がりかを確認して判断します。

国税庁は、2024年以降のNISAについて、NISA口座で取得した対象商品の配当等や譲渡益は非課税となる一方、売却損はないものとみなされ、特定口座・一般口座の利益等との損益通算も繰越控除もできないと説明しています。根拠は国税庁のタックスアンサー「No.1535 NISA制度」で確認できます。

まず分ける:実際のお金の損失と税務上の損失

NISAの損失を理解する第一歩は、「実際にお金が減ったこと」と「税計算に使える損失」を分けることです。

100万円で買った商品を70万円で売れば、手数料などを考えない単純計算では30万円の売却損です。NISA口座でも、手元の資産が30万円減ったという経済的な損失は消えません。

一方、NISA口座の売却損は、課税口座の税計算へ持ち込めません。「税務上はないものとみなされる」とは、損をしていないという意味ではなく、損益通算や繰越控除の材料にできないという意味です。

次の図で、二つの層を分けてください。

見る層100万円で買い70万円で売った結果次に確認すること
家計・資産の層30万円の売却損投資理由、資金用途、残りの資産、今後の計画
NISAの税務の層損失は通算・繰越の対象外課税口座の利益から差し引かない
投資判断の層売却した理由により評価が変わる値下がりだけでなく、前提の変化や必要時期を確認

「NISAでは損失が消える」という表現は誤解を招きます。正確には、実際の損失は残るが、その損失を課税口座の税計算に使えない、です。

NISA、特定口座、一般口座の違い

2024年からのNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠を持つ非課税制度です。金融庁の「NISAを知る」は、2024年から制度が恒久化され、非課税保有期間が無期限になったこと、売却益や配当等が非課税になること、売却した商品の簿価分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できることを案内しています。

税務上の違いだけに絞ると、次のように整理できます。

項目NISA口座特定口座一般口座
対象利益制度要件を満たす譲渡益・配当等は非課税課税対象課税対象
売却損課税口座との損益通算不可対象取引・申告等の条件を満たせば通算できる場合がある対象取引・申告等の条件を満たせば通算できる場合がある
損失の繰越不可条件を満たす確定申告により翌年以後3年間の場合がある条件を満たす確定申告により翌年以後3年間の場合がある
計算・記録NISA内の利益は原則として申告不要金融機関が年間取引報告書を作成原則として本人が取得費・譲渡額等を管理
源泉徴収NISA対象利益には原則なし「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」がある口座としての源泉徴収選択はない
配当の注意国内上場株式等は受取方式で非課税扱いが変わる課税方式・口座への受入れで通算や申告が変わる課税方式や申告を本人が確認

特定口座は、金融機関が口座内の上場株式等の譲渡所得等を計算し、年間取引報告書を作成する仕組みです。源泉徴収ありの特定口座では、一定の所得を申告不要にできる場合があります。詳しくは国税庁の「No.1476 特定口座制度」と、特定口座の源泉徴収あり・なしの選び方を確認してください。

一般口座は「一般だから簡単」という意味ではありません。金融機関が特定口座年間取引報告書を作る特定口座とは異なり、取得価額や譲渡損益の計算に必要な記録を自分で管理する場面があります。複数回買付、株式分割、相続・贈与、外国株などが絡むと計算が複雑になるため、一般記事だけで申告額を決めないでください。

損益通算と繰越控除を一枚で見る

課税口座の上場株式等に係る譲渡損失には、条件を満たした場合に使える二つの仕組みがあります。

仕組み時間の向き一般的な役割NISAの売却損
損益通算同じ年対象となる利益や申告分離課税を選んだ一定の配当等と差し引く使えない
繰越控除翌年以後通算しても残った対象損失を、確定申告を続けて翌年以後3年間にわたり差し引く使えない

国税庁の「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」は、金融商品取引業者等を通じた対象となる上場株式等の譲渡損失について、確定申告により、その年の上場株式等の配当等に係る利子所得・配当所得と通算できること、残った損失を翌年以後3年間にわたり繰り越せることを案内しています。上場株式等の配当所得は、申告分離課税を選択したものに限るなどの条件があります。

同ページは同時に、NISA口座内の上場株式等を譲渡して生じた損失は、損益通算も繰越控除もできないと明記しています。課税口座の制度を理解したうえで、NISAを例外として切り分ける必要があります。

損益通算や繰越控除の詳しい手続きは、損益通算と繰越控除の仕組みで整理しています。

数値例1:NISAで100万円から70万円になって売却

最初の例は、NISA口座だけで完結する単純なケースです。

項目金額
NISA口座での買付額100万円
NISA口座での売却額70万円
実際の売却損30万円
課税口座へ持ち出せる税務上の損失0円
翌年以後へ繰り越せる損失0円

30万円の損失が出ていますが、その30万円を特定口座や一般口座の利益から差し引くことはできません。確定申告をしても、NISAの30万円を繰越控除の対象にはできません。

なお、2024年からのNISAでは、商品を売却すると、その商品の簿価、ここでは買付額100万円分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。売却額70万円ではなく簿価100万円が基準です。ただし、その年の年間投資枠が売却直後に戻るわけではなく、再利用できる非課税保有限度額が年間投資枠へ上乗せされるわけでもありません。金融庁の「NISAのよくある質問」「NISA制度説明資料」で確認できます。

ここで「売れば枠が戻るから損失も取り戻せる」とは考えないでください。戻るのは翌年以降に投資へ使える制度上の総枠であり、失った30万円そのものではありません。

数値例2:NISAで30万円の損、同年の課税口座で40万円の利益

次は、NISA口座と課税口座を同じ年に使っていたケースです。

口座取引結果税務上の扱い
NISA口座30万円の売却損ないものとみなされ、通算に使えない
特定口座または一般口座40万円の対象利益NISAの損失を差し引かずに課税口座側で扱う
家計全体の単純な差引10万円のプラス税務上の課税対象額と同じとは限らない

家計全体だけを見れば、40万円の利益から30万円の損失を引き、差引10万円のプラスに見えます。しかし税務上は、NISAの30万円を課税口座へ持ち込めません。

したがって、「全口座を合計すると10万円しか利益がないから、課税口座も10万円を基準にすればよい」とは限りません。NISAと課税口座を先に分け、課税口座内で対象となる利益・損失だけを確認します。

証券会社の公式FAQも同じ説明です。SBI証券「NISA口座での損失を一般口座や特定口座と損益通算できますか」と、マネックス証券「NISA口座の売買損失は損益通算できますか」は、NISAの損失は税制上の損失とみなされず、課税口座との損益通算も繰越控除もできないと案内しています。

数値例3:NISAで100万円が70万円だが、まだ売っていない

値下がりしたものの保有を続けているケースです。

項目金額・状態
NISA口座での買付額100万円
現在の評価額70万円
含み損30万円
売却していない
売却損まだ確定していない

含み損は、現在の評価額が買付額を下回っている状態です。売却していないため、この例では30万円の売却損はまだ生じていません。したがって、損益通算や繰越控除の可否を理由に急いで売る・売らないを決める前に、投資そのものを点検します。

確認する順番は次のとおりです。

  1. 買ったときの投資理由は、現在も成り立っているか。
  2. 想定した保有期間は何年で、現在はその途中か。
  3. 近く使う予定の生活費、教育費、住宅費などを投資していないか。
  4. 値下がり幅が、自分の家計と心理の許容範囲を超えていないか。
  5. 商品の中身、費用、分散、リスクを理解したうえで保有しているか。
  6. 「損を確定したくない」という感情だけで、前提が崩れた投資を続けていないか。

「損だから売らない」は、税務上の不利を避けるように見えても、投資判断として十分な理由ではありません。反対に、「NISAでは通算できないから今すぐ売る」も十分な理由ではありません。税務は判断材料の一つであり、投資理由、期間、資金用途を置き換えるものではないからです。

数値例4:NISAから課税口座への移管・払出しが絡む

NISA口座から特定口座または一般口座へ商品を払い出すと、取得価額の扱いが変わるため注意が必要です。ここでは仕組みだけを見る架空例を使います。

時点状態金額
最初NISA口座で買付100万円
払出し時評価額が下落70万円
払出し後課税口座での新しい取得価額70万円
後日課税口座で売却90万円
課税口座だけの差額20万円の利益
最初の買付から見た単純差額10万円の損失

この例では、最初に100万円で買い、最終的に90万円で売っているため、投資全体を単純に見れば10万円減っています。しかし、NISAから課税口座へ払い出した時点の時価70万円が課税口座での新しい取得価額となる場合、課税口座では70万円から90万円へ増えた20万円が利益として扱われます。

最初の100万円から払出し時の70万円までに生じた30万円の下落は、NISA側の損失として課税口座の利益と通算できません。「全体では損なのに、課税口座では利益が出る」という見え方が起きる理由です。

SBI証券の「NISA預りの商品を課税預りへ移管する方法」は、課税預りへ移管した商品の取得日は移管日、取得価格は移管日の時価になると案内しています。マネックス証券の「NISA口座の商品を特定口座または一般口座へ移管できますか」も、払出しに伴う取得価格は払出日の時価となり、払出し後にNISAへ戻せないと説明しています。

実際の取得価額、移管可能な商品、受付条件、枠の扱いは金融機関や手続きによって確認が必要です。移管・払出しをする前に、利用中の金融機関へ書面で確認し、個別の税務判断は税務署または税理士へ相談してください。

数値例5:課税口座内だけなら通算の対象になり得る

NISAとの違いを明確にするため、課税口座だけの架空例も見ます。

課税口座取引結果
課税口座Aの対象となる上場株式等40万円の利益
課税口座Bの対象となる上場株式等30万円の損失
条件を満たして通算した後の単純差額10万円

この例は、対象取引であることや必要な確定申告などの条件を満たせば、損益通算の対象になり得ます。同じ証券会社の源泉徴収あり特定口座内で行われる計算と、複数金融機関をまたぐ損益通算では手続きが異なります。

一般口座を含む場合、年間取引報告書だけで完結しないことがあります。申告分離課税を選ぶ配当等、過去からの繰越損失、扶養や保険料への影響などが加わると、単純な10万円だけで最終結果を断定できません。

国税庁の「株式の売却をした方や配当等を受け取った方へ」では、複数口座の譲渡損益や配当等を申告する場合の入口と、確定申告書等作成コーナーへの案内を確認できます。

数値例6:NISAで100万円から130万円になって売却

損失側だけでなく、利益側も対で確認します。

項目金額
NISA口座での買付額100万円
NISA口座での売却額130万円
譲渡益30万円
NISAの制度要件を満たす場合の扱い非課税
翌年以降に再利用できる非課税保有限度額買付額の100万円分

NISAの利点は、この30万円の譲渡益が制度要件を満たせば非課税になることです。課税口座なら利益側が課税対象になり得る一方、対象となる損失を税計算に使える場合があります。NISAは、利益側だけを非課税にし、損失側だけ課税口座へ持ち出す仕組みではありません。

そのため、「利益が出そうな商品だけNISAへ入れればよい」という結論にも注意が必要です。将来の値動きを確実に当てることはできず、NISAは元本保証ではありません。制度の有利・不利と、商品のリスク・費用・分散を分けて考えます。

配当の扱い:売却損とは別の確認欄を作る

「NISAなら配当も全部、自動的に非課税」と考えると、国内上場株式等の受取方式を見落とします。

国内上場株式、国内ETF、上場REIT

NISA口座で保有する国内上場株式の配当金、ETF・REITの分配金を非課税で受け取るには、原則として証券会社の口座を通じて受け取る株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。

国税庁の「No.1535 NISA制度」は、非課税となる配当等はNISA口座を開設している金融商品取引業者等を経由して交付されるものに限られ、発行者から直接交付されるものは課税扱いになると説明しています。

SBI証券「NISAの国内上場株式の配当金を非課税にする受領方法」も、株式数比例配分方式以外を登録している場合や、配当の権利確定日以降に登録した場合は、NISA口座の株式でも配当金が非課税にならないと案内しています。

上場していない公募株式投資信託

日本証券業協会の「NISAのよくある質問」は、NISA口座で保有する株式投資信託の分配金について、国内上場株式の株式数比例配分方式の手続きをしなくても非課税になると案内しています。同じ「分配金」という言葉でも、上場ETF・REITと、上場していない株式投資信託を分けてください。

課税口座の配当

課税口座の上場株式等の配当等は、申告不要、総合課税、申告分離課税などの選択が関係します。損益通算の対象になるのは、上場株式等の譲渡損失と、申告分離課税を選んだ一定の上場株式等の配当所得等です。

源泉徴収ありの特定口座へ受け入れた上場株式等の配当等は、同一口座内の譲渡損失との計算が行われる場合があります。根拠は国税庁の「No.1476 特定口座制度」で確認できます。

配当の課税方式は、損益通算だけで決めるものではありません。配当控除、所得判定、住民税、扶養、保険料などへ影響する場合があります。自分の申告結果は記事内の単純例だけで決めず、税務署または税理士へ確認してください。

配当受取方式の確認手順は、NISAの配当金受取方式で詳しく整理しています。

利益・損失・配当を口座別に分ける確認表

年末や売却前に、次の表を埋めると混同を減らせます。金額を合算する前に、まず口座区分を記録します。

確認欄NISA特定口座一般口座
買付額・取得価額非課税保有限度額の簿価確認に使う年間取引報告書等で確認自分の取引記録等で確認
売却額NISA内の譲渡益・売却損を確認年間取引報告書等で確認自分の取引記録等で確認
売却益制度要件内なら非課税課税対象になり得る課税対象になり得る
売却損通算・繰越不可条件を満たせば対象になり得る条件を満たせば対象になり得る
配当・分配金商品区分と受取方式を確認口座への受入れと課税方式を確認支払通知書等と課税方式を確認
前年からの繰越損失NISA損失は対象外過去の申告書控えを確認過去の申告書控えを確認
申告の要否NISA内の非課税所得は原則不要源泉徴収区分・他口座・配当等で変わる原則として本人が申告判断

この表は申告書の代わりではありません。商品区分、取引方法、居住状況、ほかの所得、過去の申告によって扱いが変わるため、最終判断には公式資料と専門窓口を使ってください。

「売るか、売らないか」を税だけで決めない

NISAの損失を損益通算できないと知ると、「損失を確定すると税務上も不利だから、利益に戻るまで絶対に売らない」という考えに傾きやすくなります。しかし、保有継続には次の問いが必要です。

投資理由

購入時に何を期待していたかを確認します。広く分散された市場全体への長期投資なのか、特定事業の成長を期待したのか、分配金を目的にしたのかで、前提が崩れたかどうかの見方は異なります。

理由を言葉にできず、「人気だった」「周囲が買っていた」「NISA枠が余っていた」だけなら、値下がり後の判断基準もありません。税務上の不利を理由に保有を固定する前に、投資目的を作り直す必要があります。

期間

数年先まで使わない資金と、数か月後に必要な資金では、同じ値下がりでも意味が違います。長期保有を想定した商品でも、必要な時期が近ければ価格回復を待てないことがあります。

「長期なら必ず戻る」という保証はありません。非課税保有期間が無期限であることと、商品価格が回復することは別です。

資金用途

生活費、税金、教育費、住宅費、医療費など、使う時期が決まっているお金を投資へ回していないか確認します。売却損の税務より、必要なときに現金が足りる問題のほうが家計への影響は大きい場合があります。

リスクと分散

保有商品が一つの企業、国、通貨、業種へ偏っていないか、費用や値動きの大きさを理解しているか確認します。「NISAに入っている」ことは、商品のリスクを小さくしません。

判断の境界

この記事は、売却または保有継続のどちらかを推奨しません。投資理由が崩れた、近く資金が必要、家計の許容範囲を超えたなど、具体的な事情があれば、税務とは別に判断する必要があります。金融商品の選択や売買判断は、自分の状況を理解する有資格の専門家へ相談してください。

誤解チェック

次の文を、正しいか誤りか考えてから回答を確認してください。

誤解しやすい文判定理由
NISAで30万円損しても、課税口座で40万円利益があれば10万円だけが課税対象になる誤りNISAの30万円は課税口座の利益と通算できない
NISAの売却損は、確定申告すれば翌年へ繰り越せる誤りNISAの損失は繰越控除の対象外
含み損が出た時点で、税務上の売却損が確定する誤り原則として売却前の評価損と売却損を分ける
NISAの商品を売却すると、実際の損失までなくなる誤り再利用できるのは翌年以降の非課税保有限度額で、損失そのものではない
NISAの国内上場株式の配当は、どの受取方式でも非課税になる誤り原則として株式数比例配分方式が必要
特定口座と一般口座の損失は、どんな所得とでも相殺できる誤り対象となる上場株式等の利益や一定の配当等などに限られ、条件がある
NISAから課税口座へ払い出した商品の取得価額は、必ずNISAで最初に買った金額を引き継ぐ誤り払出日の時価が課税口座の取得価額となる扱いがある
税務上不利になる可能性があるなら、損失中の商品は必ず持ち続けるべきだ誤り投資理由、期間、資金用途、リスクを含めて判断する
NISAの制度を使えば元本が保証される誤りNISAは税制上の口座であり、価格変動リスクは残る
課税口座の対象損失を翌年以後へ繰り越すには、申告手続きが必要になる正しい国税庁が所定の確定申告書・付表等の提出を案内している

一つでも迷った場合は、口座の画面に表示される「損益」だけで申告判断をせず、年間取引報告書、取引履歴、配当の支払通知書、過去の申告書控えを分けて確認してください。

売却・申告前の確認手順

1. 口座区分を確認する

同じ銘柄をNISA口座と課税口座の両方で持つことがあります。注文履歴や残高画面で、NISA預り、特定預り、一般預りを分けます。

2. 含み損と売却損を分ける

まだ保有中なら評価損、すでに売ったなら売却損です。売却日、数量、取得価額、譲渡額、費用を確認します。

3. 課税口座だけを集計する

特定口座年間取引報告書、一般口座の取引記録、配当等の資料を証券会社ごとに集めます。NISAの売却損を課税口座の合計へ混ぜません。

4. 配当の受取方式と課税方式を確認する

NISAの国内上場株式等なら株式数比例配分方式か、権利確定日までに登録されていたかを証券会社へ確認します。課税口座の配当を申告する場合は、総合課税、申告分離課税、申告不要の違いを確認します。

5. 前年からの繰越損失を確認する

課税口座の対象損失を過去に申告している場合は、確定申告書付表の控えを確認します。NISAの損失を繰越額へ加えません。

6. 申告判断を公式窓口で確認する

複数口座、配当、扶養、住民税、国民健康保険料、外国株、相続・贈与、移管・払出しが絡む場合、一般記事だけで最終税額を決めないでください。所轄税務署、国税庁の相談窓口、または税理士へ資料を見せて確認します。

よくある質問

Q1. NISAで100万円買い、70万円で売った30万円は損益通算できますか

できません。実際には30万円の売却損ですが、NISA口座の損失は税務上ないものとみなされ、特定口座・一般口座の対象利益等との損益通算に使えません。

Q2. 確定申告をすれば、NISAの損失を翌年へ繰り越せますか

できません。NISAの売却損は繰越控除の対象外です。課税口座の対象となる上場株式等の譲渡損失とは扱いが異なります。

Q3. NISAで損失、特定口座で利益が出たら自動的に相殺されますか

されません。同じ証券会社であっても、NISA口座の損失を特定口座の利益から差し引くことはできません。口座画面で資産全体の損益が合算表示されても、税務上の通算とは別です。

Q4. NISAの含み損も損益通算できませんか

含み損は、まだ売却していない評価上の損失です。原則として売却損が確定していないため、NISAか課税口座かにかかわらず、まず含み損と実現した売却損を分ける必要があります。NISAで売却して損失が確定しても、その損失は通算できません。

Q5. 損益通算できないなら、含み損の商品は売らないほうがよいですか

この記事から一律の結論は出せません。税務上の扱いに加え、投資理由、想定期間、資金用途、商品のリスク、家計の余裕を確認してください。「損だから売らない」だけでは、投資を続ける理由として不十分です。

Q6. NISAで売却すると、非課税枠はその日に戻りますか

売却した年の年間投資枠がその日に戻るわけではありません。2024年からのNISAでは、売却した商品の簿価分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。再利用する年にも年間投資枠の上限があります。

Q7. 100万円で買い70万円で売ったら、翌年に戻る枠は70万円ですか

金融庁の説明では、非課税保有限度額の再利用は売却額ではなく簿価、つまり取得金額を基準にします。この単純例では100万円分です。ただし、実際の取得金額や枠の利用状況は金融機関の画面・書面で確認してください。

Q8. NISAの配当金は必ず非課税ですか

国内上場株式、ETF、REITの配当金・分配金は、原則として株式数比例配分方式で受け取る必要があります。別の受取方式では、NISA口座で保有していても非課税にならない場合があります。上場していない公募株式投資信託の分配金は、同じ受取方式の手続きをそのまま当てはめません。

Q9. NISAから特定口座へ移せば、NISAで出ていた損失を使えますか

NISA期間中の下落分を課税口座の損失として引き継ぐわけではありません。課税口座へ払い出す時点の時価が新しい取得価額となる扱いがあるため、払出し前後の取得価額を金融機関へ確認してください。

Q10. 特定口座や一般口座からNISAへ、そのまま商品を移せますか

制度上できません。SBI証券の「一般口座や特定口座の商品をNISA口座へ移管できますか」も、課税口座で保有する金融商品をNISA口座へ移管できないと案内しています。NISAで保有するには、NISA枠を使って対象商品を新たに買い付ける形になります。

Q11. NISAの金融機関を変えると、保有商品も新しい会社へ移りますか

NISA預りのまま新しい金融機関へ商品を移せるとは限りません。SBI証券の「NISA口座を他社に変更する方法」は、同社のNISA預り商品を他社へNISA預りのまま移せず、金融機関変更後も同社のNISA口座内で保有できると案内しています。金融機関変更の時期と既存商品の扱いは、変更前・変更後の両社へ確認してください。

Q12. 金融機関を変更した後、以前の会社で保有するNISA商品を売った枠はどうなりますか

金融庁の制度説明資料は、変更前の金融機関で保有する2024年以降のNISA商品を売却した場合、その簿価分の非課税保有限度額を翌年以降、変更後の金融機関のNISA口座で再利用する扱いを説明しています。年間投資枠へ上乗せされるわけではありません。

Q13. 課税口座の損失なら、給与所得から差し引けますか

上場株式等の譲渡損失を給与所得から自由に差し引く制度ではありません。対象となる上場株式等の譲渡益や、申告分離課税を選んだ一定の上場株式等の配当所得等との通算が中心です。

Q14. 課税口座の損失は、何もしなくても3年間繰り越されますか

自動ではありません。国税庁は、損失が生じた年の所定の確定申告に加え、その後の年も連続して付表を添付した確定申告書を提出するなどの手続きを案内しています。取引がない年を含む個別の申告方法は、税務署または税理士へ確認してください。

Q15. 源泉徴収ありの特定口座なら、必ず確定申告は不要ですか

口座内の所得を申告不要にできる場合がありますが、他社口座との損益通算、損失の繰越控除、配当等の申告などを行う場合は判断が変わります。扶養や保険料など別制度への影響もあり得るため、「源泉徴収ありなら何も確認しなくてよい」とは限りません。

Q16. 自分の最終税額をこの記事の例から計算できますか

できません。この記事は制度を理解するために手数料や個別事情を省いた例を使っています。保有商品、取引方法、口座区分、配当、ほかの所得、過去の申告、居住地などで結果が変わります。最終的な申告要否・税額は税務署または税理士へ確認してください。

公式情報

制度・税務・証券会社の取扱いは、2026-07-24に次の公式ページで確認しました。

制度の全体像は新NISAの基本、口座選びはNISA口座をどこで開くかも参照してください。

まとめ

NISAの「利益は非課税」と「損失は損益通算・繰越控除に使えない」は、同じ制度の表と裏です。100万円で買い70万円で売れば、実際には30万円を失っていますが、その30万円を課税口座の利益から差し引けません。

同年に課税口座で利益がある場合も、NISAの損失を混ぜずに計算します。含み損の段階では、売却損がまだ確定していないことを確認します。NISAから課税口座への移管・払出しでは、払出し時の時価が新しい取得価額になる扱いがあり、投資全体では損でも課税口座側では利益が生じることがあります。

ただし、損益通算できないことだけを理由に「損だから売らない」と決めるのは避けてください。投資理由、期間、資金用途、値下がりへの許容度、商品の中身を点検し、税務と投資判断を分けることが大切です。

本記事は情報提供を目的とした教育上の一般論であり、投資助言、税務助言、節税効果の保証ではありません。投資には元本割れの可能性があり、NISAは損失を補償する制度ではありません。売買の最終判断はご自身の責任で行ってください。個別の申告要否、課税方式、損益通算、繰越控除、取得価額、最終税額は、所轄税務署、国税庁の相談窓口、または税理士へ確認してください。

制度・手続きは 2026-07-24 時点の金融庁、国税庁、日本証券業協会、証券会社の公式情報調べ。制度や各社の取扱いは変更されることがあるため、売却・移管・申告の前に最新の公式情報をご確認ください。